自由と平等のブロックチェーン by 星 暁雄
この論考「コインの両面」における最も重要な主張は、次のようになる。「公共性をもつ複雑で大規模なプロジェクトをどう進め/どう規制するのか」という複雑な問題を考えるためには思考の枠組み=フレームワークが必要だ。そこで著者は、人類史上トップクラスの天才達が考え出し、歴史のテストに耐えて生き残った4種類の倫理フレームワークを統合し、多くの問題──あらゆる問題──に適用できる思考のフレームワークを作ろうと試みるのだ。こうまとめると、なんと意欲的な取り組みだろう!
著者の議論と私のアイデアを足すと、次のように書ける。
パブリックブロックチェーンとは、自由と平等を守る技術なのだ。
著者は、倫理学を現実の問題に適用するために必要な「規範の原則」の理解のため、規範倫理学(Normative ethics)の4つのフレームワークとそれぞれの代表を挙げる。
功利主義(utilitarianism) 代表はベンサム、ミル
義務論(deontology) 代表はカント
人権(human rights) 代表は世界人権宣言(UDHR)
徳倫理学(virtue ethics) 代表はアリストテレス
著者は、4つの倫理フレームワーク(功利主義、義務論、人権、徳)の共通点を指摘する。
1. 平等(equality)。個人の本質的な重要性と平等性に同意
2. 普遍性(universal)。原則はどこでも、すべての人に適用される。
3. 効用(utility)の重要性。権利、義務、徳がそれらの行為を禁止していない限り、最大の効用を生む選択肢が最も良い。
4. 開発(development)に焦点を当てる。ここでいう開発とは「持続可能な開発目標(SDGs)」でいう「開発」と共通する概念だ。教育、能力開発、インフラ整備、環境問題対策などを含む。
https://gyazo.com/27ff77e47f3c02cc290ced1da27fbc4c